この数日で急に肌寒くなってきて着る物に迷う季節です。寒くなるのは嫌だけど、秋は植物が色づき、空の高さを感じるとモチーフになる物が見つかりそうでちょっぴり嬉しい季節でもありますね。さて、今回の大型静物はだいぶ渋~い感じにしてみました。茶色っぽい物が多いですが、褐色系の色でも黄味から緑味、オレンジに近かったり赤味や焦げ茶と幅を持って扱えば大変豊かな色相と言えます。そこへ絵具の透明性か不透明性かの選択、白や灰色での形態感の肉付けが加われば重厚感のある油絵が描けそうですねぇ。油絵具の物質感いわゆる可塑性を生かしてゴツゴツした質感を出すのも面白そうです。水彩ではやや明るく捉えて、銅の器物の輝きや南瓜の鮮やかな色味など描いてみてはどうでしょうか。12月20日までセットしてあります。(加藤)
絵画標準規格最小サイズF0(ゼロ)号(14cm×18cm)の作品のみでの展覧会です。
手のひらサイズの作品を縦横均等に壁一面に並べ、そこから見えてくる数々の個性が凝縮された小さな世界を皆で堪能することが目的です。
第5回目となる当展は、研究科生(一般クラス)を中心に受験科卒業生や講師も交え、前回にも増してバラエティに富んだ小さな作品が集まりました。ごゆっくりご覧ください。
◆日時
2022年10月21日(金)~10月26日(水)
OPEN 11:00~19:00
※初日は15:00から 最終日は17:00まで
◆場所
しろがねGallery
http://www.shiroganegallery.com/
JR三鷹駅南口徒歩5分 しろがね通り沿い
東京都三鷹市下連雀3-29-1
講師の佐々木です。9月に入っても暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。アトリエ・フランも通常授業再開しております。今回のモチーフは、主に日常的な生活用品や雑貨を並べてみました。普段見慣れた物も置かれた環境や状況によって、印象や見え方が変化します。物同士の非日常的な組み合わせのおもしろさ、石膏像(ホーマー胸像、ヘルメス半面、聖ジョルジョ首像)との関わり合いなど…。ぜひ、そのようなところをモチーフからキャッチして描いてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、美術コースの受験生は同じモチーフを倍版サイズの木炭紙でデッサンする課題を行なっています(完成した作品は、後日廊下に展示する予定です)。
また、9月から日曜日午後の人物画コースも開講しております。こちらのご参加もぜひお待ちしております。
暑い日が続いていますが、研究科は只今サマースクール開催中です。人物画コースと自由制作コースそれぞれ各人とも熱心に制作されています。人物モデルは今年3月以来久々とあって、描く筆にも一層熱が入る様子です。まだまだ厳しい暑さが続きそうですから、みなさま体調には十分気をつけて最終日までがんばりましょう。アトリエ・フランは8月24~31日まで夏期休講となります。研究科通常授業は9月1日より再開です。
今回モチーフにした切り株はお庭の手入れをされるという友人のお姉様宅からいただいてきました。私がお家に伺った時には、木を切ってから1ヶ月程経つのにも関わらず切り株からはまだ水が溢れていました。ものすごい力で水を吸い上げ、葉の先まで送っていたことがわかります。驚きで呆然としている私を横に友人が次々とモチーフに良さそうな木を選んでくれました。植木屋さんが持ち運びやすい大きさに切ってくれていましたが、一人では持てず、転がしたり、引きずったり…。抱きかかえるとまだ湿り気があり、生きているエネルギーというのか存在感に圧倒されます。地面の下と地面の上を水を通して行ったり来たり。それは人間の想像の遙か向こう。今回はその断片になりますが、フレッシュな楠の香りも一緒に楽しんでいただけたらと思います。期間は7月20日までと長めですので画面構成や描き出しにじっくりと時間をかけてもよさそうです。
向かって左から楠、欅(台上)、楓。台上トレイの緑の葉は楠に寄生しているノキシノブ(軒忍)という植物です。(丹澤)
日ごとに陽差しが明るさを増してきて季節は春めいて参りました。道行くと風景にも花の色がちらほらと見え始め色づくのが楽しみでございます。さて今回のモチーフですが小さな貝殻や木の実、ガラス玉などが並び、蒐集箱を広げたような雰囲気で組んでおります。近づいて眺めていると枯れて縮んだ木の葉と渦を巻く貝殻の形がどこか似ているように見えたりして、生き物という精巧な科学が人知れず咲いては枯れていくのだなあ、その美しさの真理を私は知り得るのだろうかなどと感慨に耽ったりいたします。と同時に何か想像力のようなものが湧いてくる気がしますので、みなさんの想像力にも刺激となれば喜ばしいことです。配置は正面性が強く、奥行きも浅い空間としてみました。F30位~F0、SM、または変形の細長いキャンバスに描いたりするのも面白いかも知れませんね。(加藤)
講師の佐々木です。研究科の皆様、本年もよろしくお願いいたします。今回のモチーフには人形、フィギュア、鉄道模型などのおもちゃが散りばめられています。これらのおもちゃは実在のものより縮小されてるため他のモチーフと隣り合うとサイズの違和感が生まれます。例えば、おもちゃの方のサイズを大きめに描くと、周りのモチーフは実際のサイズの倍以上の大きさで描くことになり、普段とは違った見え方で面白いのではないでしょうか。また切り取る構図によっては、ひとつの風景の様に見立てて描くこともできるでしょう。石は岩山、花瓶は鉄塔などなど…。
また、おもちゃだけをピックアップして描くのもありだと思います。おもちゃ(郷土玩具)をよくモチーフに描いた作家では、明治の浮世絵師の川崎巨泉や童画家の武井武雄などがいます。日本画家の中島千波もおもちゃのシリーズの作品を描いています。参考にしてみてはいかがでしょうか。
こんにちは、丹澤です。今回の大型モチーフは、かぼちゃ、南瓜、カボチャです。秋は実りの季節、たくさんのカボチャをごろっと並べ、収穫を喜ぶ傍ら、高みからカラスが何かを狙っている構図です。形としては球体形が多いので基礎的な明暗が見やすく立体感が出せるのではないでしょうか。着彩ではカボチャの影色に面白さがあるでしょう。特に午前中は明るいオレンジ色の影がとても綺麗です。空間としては大小さまざまなカボチャが前後左右にあるので手前と奥を強めに意識して描く必要がありそうです。もちろん色彩中心で表現するも良し、統一感のある画面になりそうです。今年最後の大型モチーフをどうぞお楽しみ下さい。
アトリエ・フランの入口のエレベーターホールにて、受験本科生(昼間部)の生徒の二人展を開催しています。授業課題の一つとしての作品展示ですが、普段よりも時間をかけた力作となっていますのでお越しの際、お帰りの際にぜひご覧下さい。ご感想なども頂けると本人たちの励みになると思います。
※11月6日(土)までの展示です。
9月に入り、急に涼しい日が続いておりますが,皆様いかがお過ごしでしょう。さて、今回のモチーフですがいかにも「絵を描きます」といったようなモチーフにしてみました。あえて名画に寄せて組んでみることで気付くことが色々とあります。
テーブルに向かって右側はオランダ黄金時代を真似ており、左側と下部はかのセザンヌさんの代表作を真似ましたが両者にはおよそ250年程時代の差があります。前者は当時の富裕層に向けてその時代には手に入りにくい物を集めて豪華に写実的に描きアピールするのが目的の1つで、後者はより身近にある物で事物の再現よりはむしろ作者個人の造形的表現が目的というのも大きな差ではないでしょうか。反対に共通するのは中国や日本風の陶器や織物が入り、どちらもいわゆる東洋趣味が含まれていますね。
ちょっと私の好みが強く出ちゃってますが、組んでる間は名画と照らし合せながら似た物を探して上手くいったり、いかなかったり。とーっても楽しかったです。(加藤)