Tag: モチーフ

3・4月のモチーフ




 日ごとに陽差しが明るさを増してきて季節は春めいて参りました。道行くと風景にも花の色がちらほらと見え始め色づくのが楽しみでございます。さて今回のモチーフですが小さな貝殻や木の実、ガラス玉などが並び、蒐集箱を広げたような雰囲気で組んでおります。近づいて眺めていると枯れて縮んだ木の葉と渦を巻く貝殻の形がどこか似ているように見えたりして、生き物という精巧な科学が人知れず咲いては枯れていくのだなあ、その美しさの真理を私は知り得るのだろうかなどと感慨に耽ったりいたします。と同時に何か想像力のようなものが湧いてくる気がしますので、みなさんの想像力にも刺激となれば喜ばしいことです。配置は正面性が強く、奥行きも浅い空間としてみました。F30位~F0、SM、または変形の細長いキャンバスに描いたりするのも面白いかも知れませんね。(加藤)

1・2月のモチーフ


 講師の佐々木です。研究科の皆様、本年もよろしくお願いいたします。今回のモチーフには人形、フィギュア、鉄道模型などのおもちゃが散りばめられています。これらのおもちゃは実在のものより縮小されてるため他のモチーフと隣り合うとサイズの違和感が生まれます。例えば、おもちゃの方のサイズを大きめに描くと、周りのモチーフは実際のサイズの倍以上の大きさで描くことになり、普段とは違った見え方で面白いのではないでしょうか。また切り取る構図によっては、ひとつの風景の様に見立てて描くこともできるでしょう。石は岩山、花瓶は鉄塔などなど…。
また、おもちゃだけをピックアップして描くのもありだと思います。おもちゃ(郷土玩具)をよくモチーフに描いた作家では、明治の浮世絵師の川崎巨泉や童画家の武井武雄などがいます。日本画家の中島千波もおもちゃのシリーズの作品を描いています。参考にしてみてはいかがでしょうか。

11・12月のモチーフ


こんにちは、丹澤です。今回の大型モチーフは、かぼちゃ、南瓜、カボチャです。秋は実りの季節、たくさんのカボチャをごろっと並べ、収穫を喜ぶ傍ら、高みからカラスが何かを狙っている構図です。形としては球体形が多いので基礎的な明暗が見やすく立体感が出せるのではないでしょうか。着彩ではカボチャの影色に面白さがあるでしょう。特に午前中は明るいオレンジ色の影がとても綺麗です。空間としては大小さまざまなカボチャが前後左右にあるので手前と奥を強めに意識して描く必要がありそうです。もちろん色彩中心で表現するも良し、統一感のある画面になりそうです。今年最後の大型モチーフをどうぞお楽しみ下さい。

9月〜10月のモチーフ


 9月に入り、急に涼しい日が続いておりますが,皆様いかがお過ごしでしょう。さて、今回のモチーフですがいかにも「絵を描きます」といったようなモチーフにしてみました。あえて名画に寄せて組んでみることで気付くことが色々とあります。
 テーブルに向かって右側はオランダ黄金時代を真似ており、左側と下部はかのセザンヌさんの代表作を真似ましたが両者にはおよそ250年程時代の差があります。前者は当時の富裕層に向けてその時代には手に入りにくい物を集めて豪華に写実的に描きアピールするのが目的の1つで、後者はより身近にある物で事物の再現よりはむしろ作者個人の造形的表現が目的というのも大きな差ではないでしょうか。反対に共通するのは中国や日本風の陶器や織物が入り、どちらもいわゆる東洋趣味が含まれていますね。
 ちょっと私の好みが強く出ちゃってますが、組んでる間は名画と照らし合せながら似た物を探して上手くいったり、いかなかったり。とーっても楽しかったです。(加藤)

5月~7月のモチーフ

こんにちは、講師の佐々木です。
今回のモチーフでは、ゴロッとした存在感の強い大きなモチーフ(壺、タンク、バケツ)をいくつか並べました。そして、その周りには初夏らしい爽やかさを感じさせるグリーンの葉っぱを配置しました。制作の上でのポイントとしては、壺などのモチーフは「塊(マッス)」を捉えることです。そのためには細部より量感を意識して立体感を出すように描き進めることが必要です。長いストロークで描く、始めの段階で柔らかい鉛筆をしっかりのせるのもよいでしょう。

葉っぱのモチーフは有機物特有の複雑な形をしています。それを捉えるには、まずじっくりとモチーフを観察することが重要です。その上でアウトライン的に長めの線で描き進めるのも有効です。また、日々形が微妙に変化するので葉っぱが元気な時にある程度描ききってしまうこともおすすめします。重さを感じるモチーフと軽やかさを感じるモチーフの対比が、おもしろい作品ができるきっかけになるのではないかと期待しています。

3〜4月のモチーフ


こんにちは!丹澤です。今回は可愛らしい人形が並んでいます。西洋人形といえば小磯良平作品のアンバーな色調のイメージがあるのですが、着彩では割りと明るい色合いで進められるようにしてみました。人形の洋服はギャザーが細かく寄り、見るほどに色々なものが見えてきてしまいます。しかしすべて描くと返ってリアリティから離れてしまうもの。大きなシワや大きな模様を軸にして画面上で強弱をつけていくと描きやすいと思います。
人形には皆さんそれぞれに(特に女の子は)、思いがあるようで、モチーフを見ながら、思い出を話してくださる方もいらっしゃいました。現役の少女、中学生もこの人形のどこかに懐かしさを感じているようで、親親近感を持ちながら描き始めています。仕上がりも親しみのある絵になりそう。皆さま楽しんで描いてくださいね!!

1月~2月のモチーフ

 皆さま本年もどうぞよろしくお願いいたします。引き続き感染防止対策に努めながら開講しております。さて、今回の大型静物モチーフは少し横長にずらっと組んでおります。あまり大きなモチーフはありませんが、大小かたまりで見て7~8箇所くらいは狙いやすい所を作ったつもりでおります。
内容は昔の西洋静物画にみられる寓意に倣ってみました。石膏像は彫刻を表し紙やパレットは絵画を、楽器は音楽をそして書物は哲学を表す。それぞれ分野の違う諸学芸の寓意です。加えて人間の五感の表現として花は見た目の美しさや香りで視覚と嗅覚、彫刻は触覚、パンや果物やお酒は味覚、楽器は聴覚の象徴と考えられました。この辺りの事は絵画の解説本等を通じてご存じの方もいらっしゃるでしょう。
 もちろんこのような意味付けに縛られなくとも、物はあくまでも物としてとらえ、描くことを楽しんでいただけたらと思います。(加藤)

皆さんこんにちは佐々木です。
コロナ禍が続きなかなか大変な状況ですが、生徒さんにも感染防止対策にご協力いただき通常に近いかたちで開校しています。

さて、11月~12月の新しいモチーフです。
今回のモチーフは壁に様々な種類の色とりどりのものを重ね、テーブルには石膏像を設置しました。通常だとテーブルにあるモチーフは複雑に置かれ、それに対して壁は布などがシンプルに貼ってあるという場合多いですが、今回はそれを逆にしてみました。なので、積極的に絵の中の背景について考える、表現を試みてみるきっかけにしてみてはいかがでしょう(例えば、背景から描いてみる、背景の面積の多い構図にしてみる…など)。

また、今回のモチーフには研究科の生徒さんが描く機会が少ない、大きな石膏像もあります。その大きさと存在感にたじろいでしまうかもしれませんが、他のモチーフとあまり意識を変えずに挑戦して描いてみてください。静物の中に組み込まれている石膏像なので、構図の中に一部分だけ入れたり、色を変えたりしてももちろんO.K.です!

今年最後の大型モチーフ、いろんな作品ができあがるのを楽しみにしています。

9月のモチーフ

晩夏、暑さが続きます。みなさまお元気ですか。

アトリエ・フランは受験生夏期講習の終盤を迎え、8月25日から研究科も再開いたします。
今回のモチーフはガラスの浮き球です。厚いガラスに太陽の光が差し込み、美しい色調になっています。透明感のあるガラスモチーフが中心となっていますので、透明水彩では、薄塗りを重ねていくと描きやすいでしょう。鉛筆デッサンでは目に見える現象を追うよりも形体感を意識して描くと力強い球体になるはず。完成をイメージして楽しみながら挑戦してみてください。

延期になっていた研究科展は来年2021年6月に決まりました!!
疑問、質問、やってみたい事などありましたらいつでも講師にご相談ください。
何処にいても不安がつきまとう日々ですが、充分配慮しながら最善を尽くしていきます。

秋からもどうぞよろしくお願いいたします。(丹澤)

6月~7月のモチーフ

こんにちは加藤です、皆様元気にお過ごしでしょうか。

大型モチーフを新たに組みました。今回は少し涼しく見えればと思い、草花と緑を多く入れてあります。画面サイズは30号~10号くらい、カルトン大かB3で収められるよう考えました。広めに取っても小さく狙いを絞ってもよいでしょう。

モチーフ下段に置いてみた本は夏目漱石の「鶉籠(うずらかご)」というもの。とっても趣きのあるレトロな装丁がいい感じです。「三四郎」の文中にフランスのアカデミーの画家グルーズの絵のことや、イギリスのウォーターハウスと思しき作品がちらっと描写されております。

図版があればどちらかと合わせて置きたかったのですが見当たらず、ロセッティの図版と合せて置いてみました。かなり強引ですが近い時代のイギリス絵画ということでお許し下さいませ。

さて、6月9日から開催予定していた研究科展は中止セざるを得ず大変残念でしたが、皆様また新たな気持ちでキャンバスに向かって下さればと思います。この期間で溜まった制作意欲を開放しにいらしてくださいね。

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